誰が払うの?
- 久しぶりに法律の豆知識です。
今からお話しする事は、ネットをされてる方であれば、ご存知の方も多いと思います。
しかし、まだご存じでない方もたくさんおられるようなので、お話しさせて頂きます。
ある未成年者Aが、親と折り合いが悪く一人暮らしを始めようと不動産屋に行きましたが
未成年である事、保証人が親でないとの理由で断られました。
それで、未成年者Aは他の不動産屋に行って、自分は20歳で、親が保証人になると
嘘をついて、賃貸契約をする事にしました。
親の実印と印鑑証明書カードのありかは、分かっていましたので、こっそり持ち出し
賃貸契約書に実印を押して、署名は親の字をまねて、印鑑証明書をつけて契約しました。
未成年者は数ヵ月後、家賃を払えず部屋を追い出される事になりました。
さて、延滞した家賃は誰が支払わなければいけないのでしょうか?
1、実印が押してあり、印鑑証明書があるのだから、保証人とされた親が支払う。
(親の言い分:子供が実印を勝手に持ち出したので、俺は知らん・・・)
2、あくまで、契約者本人は未成年者Aなので、当然に未成年者Aが支払う。
(未成年者Aの言い分:法律知ってるよ!未成年者の場合、契約行為は取り消す事が
できるんでしょ、だから部屋を明け渡すだけでいいんじゃないの!)
3、未成年者Aからも保証人とされた親からももらう事ができず、家主の泣き寝入り
この話しのポイントは2つ・・・
未成年者Aが成年と偽った事、親は契約自体を知らなかった事になります。
答えは 2、 契約者本人である、未成年者Aになります。
まず親の実印の件ですが、いくら契約書に実印が押されていたとしても、その本人が
保証人になる事を認めておらず、無断で押された保証人契約は無効となります。
次に、未成年者Aの言い分である未成年者が法律行為を取り消す事は認められています。
法律上は、未成年者が行った法律行為は取り消す事ができ、部屋を明け渡すだけでよく
延滞家賃は払わなくてよいのです。
しかし、未成年者Aは、ある間違いをしました。
未成年者であるにもかかわらず20歳と嘘をついて契約した事です。
民法20条によれば、制限能力者カ能力者タルコトヲ信セシムル為メ詐術ヲ
用ヒタルトキハ其行為ヲ取消スコトヲ得ス とされています。
そのまま条文を載せましたが、わかりやすくいえば未成年者が20歳と嘘をついて
おこなった法律行為は取り消す事ができないのです。
但し、未成年者が何も言わず、黙っているのに相手方が20歳以上と勝手に
思いこんで、おこなった契約は取り消す事ができます。
この他、未成年者の詐術行為の他に、法律行為を取り消す事ができない場合があります。
それは、未成年者が婚姻した時です。
民法第753条によれば、20歳未満であっても婚姻していれば成年者とみなされる事になっています。
まぁ、今時20歳かどうか、又は保証人の本人確認をしない不動産業者は、ほとんど
無いと思いますが、法律の豆知識として覚えておいたらいいかも?
宅建主任者の試験を勉強する際、総則として1番最初に覚える法律知識です。
ご興味のある方は、一度挑戦されてみては・・・
※上記の内容は個々の事情により法規定や法解釈が異なる場合がありますのでご注意ください。
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2008/5/03 【土】 | 不動産に関する雑学